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PAPA Bのとてつもねー世界

とてつもねー世界 第五話《タクシーハイファイ:前編》
text:PAPA B

初めてのステージから1年近くが過ぎた大学2年の夏、石狩湾の "ドリームビーチ" にタクシーハイファイがやって来る事になった。
ランキンタクシーがやって来る、オレが日本語でディージェーするきっかけとなったその人と、たかが10ヶ月やった程度のオレが野外で共演!?
正に夢の様な話だ。ライブ前夜、眠れぬ夜を過ごした訳だが、オレにはもう1つ眠れなかった理由があった。
実はこのところ音楽に対する意見の相違で、中野くんとオレの間には時折よろしくない空気が流れていた。
それが事もあろうに、この前夜に爆発して言い合いになったのだ。
「オレはもう一緒にやらん!明日のライブなんか関係ない!どうのこうの......」
結局、明日だけは何だろうがやろうと言う所で収まったが、当日の朝は当然気まずかった。
「こんなことで大御所の前座が勤まるのか?」心配しながらも朝8時頃にはビーチに着いて、正午あたり迄
オレも中野くんも汗だくの砂まみれになってステージ設営など手伝った。若さのせいかどうかは知らんが、
お互い朝から一仕事終えたのと、初めてのビッグゲストと対面する緊張で、
喧嘩になった事などもうどうでもよくなって、どのオケで何を歌うかあれこれ話し合っていた。

午後1時過ぎ、遂にタクシーハイファイクルーがバンに乗って会場の裏手にやって来た。
「ヤバい、どんな人達なんだろう?」
ドキドキしながらバンの方へ近づいて行くと、ドアが開いて中から続々とメンバーが出て来た。
佐川修、クールタクシー、チャッティージェー、ランキンタクシー、黒人のラッパー
...ん!?黒人のラッパーなんてタクシーハイファイにいたかな?と思いつつ、英語も自信が無かったので、
ヤーマンと一言交わしただけだったが、この人には後で本当にびっくりさせられた!

バンから出て来たみんなは挨拶も早々に、車から手際よくサイコロみたいなスピーカーを次々に運び出して
ステージの脇まで持って行ってどんどん積上げて行った。どうしてこんなに可愛らしいスピーカーだったのか?
後々になってランキンさんに聞いた所、車にも積みやすく、
日本の狭いハコでも用意に持ち運び出来るサイズとして設計したのが、
このタクシーハイファイ初代のスピーカーだったと教えてくれた。
このサイズのスピーカー、今の日本のクラブでも十分使えるのではないだろうか?

スピーカーを全て積み終えて壁になったのを見て、これがサウンドシステムか!とオレも中野くんも興奮していた。
勿論スピーカーにはクラった訳だが、ツアーの疲れをミジンも見せない彼らの身のこなしや、
服装のセンスにオレは完全にヤラれてしまっていた。
特に気になったのがクールタクシー、チャッティージェーの二人のファッションで、
クールタクシーの方はジェネラルトゥリー風のレザーのベレーにストーンラブのカッコいいTシャツ、
ネイビーのジャージにスニーカーはトゥループ、チャッティージェーは、メッシュの円柱型の黄色いキャップを
斜めに不良クサく被ってカザールをかけて、指にはゴールドをジャラジャラはめていた。
二人ともステージが終わる迄ずっと無愛想だったが、そこがとてもクールに見えてオレ迄そうするもんなんだ、
と影響を受けてしまった。
しかし、オレはと言えば、今日の日に備えたは備えたが全くの張りぼてファッションで、
トレバースパークス風の黒のベレーに、キャッシュマネーのゴールドチェーン
(確か、2つとも中野くんにもらったヤツ、まあこれは良いとして)
白の無地のロンTに、古着屋で買ったアメフト選手が履くオレンジのスウェットにドクターマーチンの短靴、
何じゃそれ!何の人!?
「だってオレの街には売ってなかったんだもん!」「オレだって頑張ったんだもん!」
オレは叫びたかった!(笑)

軽く劣等感を感じていると、ショーはもう始まる所で佐川さんがレコードをスタンバイしていた。
トップバッターはさっきの黒人ラッパーだ、ゴールドを首からジャラジャラぶら下げてクールジェイの
[I need love] みたいなゆっくりしたオケに乗ってステージに上がって行く姿は流石にキマっていた。
東京のベースあたりでやってる黒人ラッパーかな?とか勝手に思っているうち彼のショーは終わって、
楽屋代わりにしていた海の家に彼が戻って来た。
「お疲れ~」みんなが言う。すると彼が「いや~ステージ暑かったわ!」と返す。
なんだ日本語できるんかい、オレもみんなに続いて「お疲れさんでした!」と言うと、
彼は「自分、次やろ?頑張れや~」と返して来た。関西弁なの!?
あっけにとられてそのまま彼の方を見ていると、部屋の奥にある備え付けの洗面器で顔を洗い始めて、
ゴシゴシして、顔の色もおちてきて、顔の色も落ち.......
え!日本人だったの!?マジでずーっと黒人だと思ってたんだけど!
「日本人だったんですね!」オレがビックリして言うと、
「そや、オレは京都から来たカーティスフライ言うんや、自分黒人思ってたんか?ハハハ」と笑い飛ばされた。
これがオレと小島さんことキングカーティスフライの最初の出会いだった。
オレは空いた口がふさがらなかったが、さっきのステージでの気の入り様には本当にクラってしまっていた。
勿論彼のスタイルは今でも唯一無二で、強いこだわりを感じるステージングはいつ見ても楽しい。
「日本にはオレの想像を軽く超える人がいたんだ!」オレはふと我に返るとナーバスになっていた。
悪い予感がよぎる。
「PAPA BONそろそろオレたちの番だぜ」中野くんが後ろからオレの肩を叩いた。
さあ、いよいよ勝負が始まるぞ!
しかしこの瞬間、オレはこれから待ち受けているとてつもねー事件の事など全く知る由もなかったのだ!!

後編につづく

1307_papa-b.jpg
▲左から、チャッティージェイ、クールタクシー、ランキンタクシー。皆さんオシャレでした。
 今回は絵、この絵の写真は次回公開なのでお楽しみに!

2013.07.20:PAPA Bのとてつもねー世界
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