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PAPA Bのとてつもねー世界

とてつもねー世界 第一話《覚醒》
text:PAPA B

当時オレは19歳(くらいだったかな?)。
高校の時ずっとやってたパンクバンドも解散して、
次は何しようかとか考えながら、とにかく色々な音楽を聴きあさっていた。
ソウル、ジャズ、ポップス、ワールドミュージック・・・
その中で特に自分で歌えそうだし、やってみたいと思ったのがレゲエだった。
ボブマリーの曲は前にも聴いた事はあったけど、
まともに聴いてレゲエにはまったのはその時が初めてだった。
さておきオレが初めて作ったレゲエの曲は、クルーシャルレゲエと言うスラロビのアルバムの中の
タクシーリディムに乗っかったイークアマウス風のヘンテコなDee Jay物で、
Dee Jayと言うものに何の知識もないオレは、カラオケに乗っけるだけで作品が出来る事が満足だった。
間もなくしてバイト先の友達の紹介で、オレと最初にコンビを組んだ中野くんに出会った。
彼を尋ねて予備校の寮に行くと、狭い部屋を音楽好きな仲間たちが出入りしていて楽しくやっている様子だった。

「高木くん、どんなの聴いてるの?」
「オレはトーヤンとか、イエローマン。」
「へぇ、古いの好きなんだね。」
「えっ!レコードの裏見たらつい4、5年前の LPなのに古いの?」
「今のレゲエはこう言うのなんだよ。」

ジャーン!!
シャバ、ニンジャ、ピンチャーズ、ベイリー等、最新のダンスホールの7インチレコードを彼はバリバリと出して来て、オレは完全に喰らってしまった。
「数年で音楽ってそんなに変わっちゃうの?」「打ち込みが主流なの?」ショックでいるオレに彼は、「次の日曜日クラブでレゲエナイトだから一緒に行こうよ」
と誘って来た。
「クラブってどんなとこ?」「ヤバいところじゃないの?」オレの質問はつきなかった。

斯くして次の日曜に中野くんが連れて行ってくれたWallと言うクラブは、その当時の札幌のアンダーグラウンドシーンの中心的場所で、
看板も何も出ていないビルの階段を下りて行くと、手だけしか見えない小窓(今考えると海外のスタイルを取入れていたんだな)があり、
そこで入場料を払うと鉄の扉が開らかれたのだが、オレはドキドキしてただみんなの後をついて行くだけだった。
店の中は初めて見るブラックライトで妖しげに照らされていた。
暗闇の中みんなの歯と目だけが白く光っていて、蛍光色でペイントされた壁のモンスターや
ガラス張りのカウンターは宇宙的異空間だった。

全くのクラブ初心者だったオレは、とにかくビクビクしながらカウンターで何を頼めば良いかも分からずにオロオロしていた。
しばらくすると中野氏と一緒に来た友達が「ラムコーク旨いから頼んでみなよ」と言うので試してみたら、
初めて飲むその甘くほろ苦い味に一瞬でハマってしまった。
「こんな場所で歌って盛り上げたら相当カッチョ良いだろうな。」そんなオレの頭の中を見透かしてか、中野くんが言ったのだった。
「ここで歌いたいなら、DJやってる人に聞いてみてあげようか?」と。
「えっマジで!!」
願ってもないチャンスがいきなりやって来た。オレは期待に胸を膨らませて夜明けの街を激チャリして家へと向かった。
オレの頭の中ではドミニクのフットボールストーリーのベースラインが流れていた。

その時点でのオレはこのレゲエと言う、とてつもねー世界にドップリ浸かるとは知るすでもなかった.......

続く..........

▲中野氏とClub Wallにて......

2013.03.21:PAPA Bのとてつもねー世界
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