多くの途上国と同様、ジャマイカにおいても電力にまつわるトラブルは多く、課題が多い。今や日本では経験し難いことだが、一時的な大雨で停電になったり、電圧が安定しなかったり、地域によってはハリケーン後に一週間以上停電が続いたりする。そして何より、電気代の高騰が国民の家計を圧迫しているという現状である。福田会長は、やはりこの一年の経営が大変厳しいものであったと振り返る。
石油発電に依存しているジャマイカは、昨今の世界的な原油価格の高騰の影響を受け、ここ一年で電気代が驚くほど高騰した。新聞報道によると、平均的ジャマイカ人の給与の3分の1を電気代が占めるに至っているそうだ。すると、国民の不満が増大すると同時に、盗電件数が増大。盗電された分の赤字を補うため、更に電気代が高騰するという悪循環を招いた。
現状を改善するためには発電の中身を変える必要がある。石油発電には限界があるので、それに変わる発電方法を確立しなければならない。ジャマイカは雨が多く、水源が豊かであるため、水の力を利用した小水力発電がその一案である。現在、国内に6基ある小水力発電施設の増設を計画している。また、風力発電も導入すべく、開発を進めている。
福田会長によると、「小島」という共通点を持つ沖縄の例も参考になるそうだ。25年前までは沖縄も石油発電に依存していたが、後に石炭発電を導入し、現在の発電力の80%をこれでまかなっている。更に現在、LNGと呼ばれる天然ガスを燃料にした火力発電の導入を日本政府の協力のもとに進めているという。
ジャマイカ政府にとっても石炭やLNGの導入は長年の夢であるが、これらの大型プロジェクトをJPSが単独で遂行するには限界がある。財政上、今すぐには実現できそうにないが、JPSと政府とが二人三脚で協力し、早期実現を目指している。
今や人々の生活に必要不可欠な電力。JPSがジャマイカに存在するたったひとつの電力会社でもあるゆえ、その責任は大きい。ジャマイカが暮らしやすい国に発展していくためには、このような問題を着実に乗り越えていかなければならない。電力供給に関して言えば、効率よく、安定した供給を行えるようになることが重要な課題である。大きな課題を背負っているが、福田会長は前向きである。ジャマイカ人は潜在能力が高く、教育的にも優秀な人材が多いので、やり方を工夫すれば成功に繋がる爆発力を持っている、と語った。
Photo:年季の入った電柱