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EVENT REPO.-イベントレポート

やすらげん 2011 FINAL
text:SOLO BANTON
photo:夏目亮 / SOLO BANTON
2011.10.1 (Sat)
@くらがり渓谷キャンプ場(愛知県岡崎市)
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PM 20:30、ぼくは豊橋駅に降り立った。
迎えに来てくれることになっているG-QUATROに電話をかける。

「あっジャイアン君、今ついたすけど……」

二、三日前までの天気予報が嘘のように空は晴れ模様。
雲の切れ間からお月様が顔を覗かせている。
いい夜だ。
外していたイヤホンを耳に押し込むと“ばきゅーん!”というサイレン音と一緒にコーネル・キャンベルの [STARS] が流れ出した。凄いタイミング。

今夜は、何か起こりそう。

車に乗り込むと、一路ぼくらは今夜の“ゲンバ”、岡崎市のくらがり渓谷を目指した。
見知らぬ街のネオンに目移りしながら、ぼくらを乗せた4WDはどんどん郊外へと進んで行く。灯りは見る間に少なくなり、気づけば車のヘッドライトが前を照らしているだけとなった。まるで人里離れた山奥に死体を棄てに行く犯罪者にでもなった気分。今ここで「本当にあった怖い話」でもされたらぼくは問答無用でパンツに染みを作ってしまうだろう。

まるで深海のような真っ暗闇の山道をぼくたちはひたすらに車を走らせた。

出発してからどれぐらい経ったろう。
「おっ、もうすぐですよ!」
ハンドルを握っているジャイアン君が笑顔で囁いた。

ほどなくして、闇夜の中にたくさんの車が停まっている光景が眼に飛び込んで来た。
「おおー、やっと着いたかー!」
くねくねと曲がりくねった山道のおかげで軽く車酔いしていたぼくは「ほっ」とため息をついた。

しかし、実はまだここは序の口。
会場は山頂にあるキャンプ場だという。
ここからが凄かった。

“獣道”といえばまず差し支えないであろう凸凹の山道を車はガタンゴトンと上下に揺れながら山頂に向かって行く。大丈夫なのか、ジャイアン君!?自分たちは車だったが一般のお客さんは15分ぐらいかけて徒歩で上まで行くんだからな……JUST LIKE Aボーイスカウト。

「こりゃあ~ジャマイカのコンチ(田舎)のダンスやで」

車内の誰かがつぶやいた。
JAのコンチのダンスは行ったことがないが恐らくこんな感じなんだろう。
本当にやばいモノを見ようと思ったらいつだって“冒険”しなきゃ、な。
“ズン、ズン、ズン、ズン、ズン……”
懐かしいサウンドシステムの低音がかすかに聴こえてくる。
今度こそ本当の到着だ。
JKTを羽織り外に飛び出すと、そこには“桃源郷”が広がっていた。

まるで山奥にできたレゲエ村。
“見上げればそーこは……”
何百回と聴いてきたあの歌そのままの光景が眼の前に広がっていた。

「すげぇ」

来てよかった。
さぁ月明かりの下で、今夜のパーティーの始まりだ!

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10/1 (SAT) 「やすらげん 2011 FINAL」
@くらがり渓谷キャンプ場(愛知県岡崎市)

[Special Guest Artist]
ENT DEAL LEAGUE

[Guest Sound]
AUDIO MIX / BADDAZ ENTERTAINMENT / NARI IN KINGSTON / RACY BULLET / SNOB / UNSTOPPABLE / YELLOW CHOICE / HIDE HOUSE CREW

[Sound System]
FUJIYAMA THE EARTHLY VIBES



まずは地元の有志たち、HIDE HOUSE CREWの各SOUND陣がゆっくりまったり甘いLOVERSで軽くWARM UP中。「できれば月明かりの下で……」は、この『やすらげん』というイベントのスローガンだが、月明かりの下でこんな音楽が聴ける事を神さまに感謝したい。

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ここからGUEST SOUNDの時間。
浜松のBADDAZ ENT.は、JCロッジ [SOMEONE LOVES YOU HONEY] のオリジナルから入り、まさにこのムードにぴったりなマンハッタンズ [SHINING STAR](T.O.K.の原曲)!勢いよく焚き火を燃やし始めたあたりでマーシャ・グリフィス [FIRE BURNING] をかけたのはやはり“狙って”いたのだろうか?余談だがメンバーのOG氏は地元浜松にて「キャプテンジャーク」というお店を経営されており、そちらの方でも毎日美味しいジャークチキンをFIREされてるので浜松にお越しの際は是非チェックされたし!

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お次は大阪よりベテランYELLOW CHOICE!
いきなり "ANSWER" オケにのせて自慢のDUBを連発!ケープルトン [MURDERATION] など、懐かしい。
「しょぼいサウンドはぶっ飛ばす!」
まさしく、硬派イエローチョイスからの明快なる "ANSWER” であった。

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地元愛知県から唯一のGUEST SOUNDは名古屋のBAD MAN、AUDIO MIX a.k.a. KICK QUICKLY!
まだまだ硬さののこるオーディエンスを
“カタいのはオレのチ@コぐらいにして!!”
と、力いっぱい揉みほぐす!
ビーニマン [SLAM] など、久々に現場で聴けてうれしかった。


ここでこの野外イベント『やすらげん』、そして本イベントが毎年開催されている愛知県は三河地方のレゲエ事情について少し触れておこう。

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愛知というと「名古屋」を第一に思い浮かべる読者も多いと思うが、豊橋・岡崎方面の三河地方も旧くからレゲエが盛んなことで有名なエリア。KING DUDES(※1)やたつみさん(※2)がFOUNDATIONを耕し、SAMURAI、FUJIYAMA、JELLY GROW……名だたるBIG SOUNDを育んだ街でもある。ちなみに“名古屋の歌姫”であるMACHACO女史も生まれは岡崎で三河出身の方。
(※1)キングデューズ……
80年代末より活動を開始した三河のサウンド・クルー。かのガーネット・シルクのSPECIAL DUB PLATEも所有していたことはとみに有名(日本で他にガーネットを持っているサウンドはキラサンと愛媛のマスターメディアぐらいだったと筆者は記憶しております)。メンバーのヤオ氏はダブプレートカッティングの『COUNTRY ACT』も長きに渡り切り盛りされ、お世話になったサウンドマン諸兄も多かろうと。

(※2)たつみさん……
豊橋のレゲエスポット『SAMA SAMA』のオーナーだった人。初期の『HANDS UP』(現在の『FRESH AIR』の前身)の運営にも携わっていた。地元シーンの発展に大きく寄与した人物。

さぞや(それこそ大阪の泉州のように)みんなオールドスクールが好きなんだろうな~と思いきや、現在かの地ではダンスホールが最もアツいらしく、『SKYJUICE』や『RED』といった地元の“社交場”には、最新のジャマイカンファッションに身を包んだ若者が毎夜のように行われるPARTYに集い、MAAAAADなダンスを競い合っているという!

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そしてそんな、ジャマイカ人もビックリ!な三河エリアの名物ダンス『やすらげん』とは!?

【やすらげん】
三河の野外ダンスの老舗中の老舗!FUJIYAMA FAMILYで場所を変えつつ現在もKEEPされている。約10年程前に山の中の広場でゲリラ的に実施されてきたが、人が集まり過ぎて残念ながらそこは終了!その場所の上に火葬場がある事から「やすらげないだろう!?」ということで命名された!
話を戻そう。

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次に登場したのは浅草よりRACY BULLET(祝Party Hard Tuesday 10th !!)。
活発弾丸pro、所属するEDLのお三方とともに、今や日本のダンスホールシーンにおいて推しも推されぬ存在となった彼らであるが、実はそんな彼らの“原点”もここ三河にあったことを皆さんはご存知だろうか?RACYの初ダンスは確か99年だったと『Strive』の創刊二号目のインタビューで読んで記憶しているから、もうかれこれ10年は昔のこと。当時サムライのメンバーが彼らの地元浅草でたこ焼き屋を営んでおり、そこの常連だったRACYの面々は彼を通じてレゲエに触れ、SOUND発足と同時に愛知は蒲郡(がまごうり)のスタジオまで赴き、そこでサムライのDEEJAYだった“クラブマン”や“ラインマン”のDUBを録音。それをプレートにして初ダンスでかけたのだ。

もしも“三河”という街がなかったらRACYはレゲエをやってなかったかも知れない。

それは言い過ぎかもだが、しかし現在とはまた方向性の違ったものになっていたことは確実だろう。
そしてそれは「RACY BULLET」を「日本のダンスホールレゲエ」と言い換えても同じこと。

三河レゲエを「なめたらかんで」!!

※なめたらかんで……
伝説のコンピレーションアルバム『DIGITAL CLASH』にも収録されたCRAB MANの代表曲。
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そして、ENT。
この日のENT DEAL LEAGUEを何と喩えれば良いだろう?まるで仲の良かった従兄弟のお兄ちゃん、お姉ちゃんに歌を聴かせるような……MICKYもDOMINOもKEN-Uも、その瞳の奥にどこか「安心」と「誇らしげ」なものが光っていた。かつて知ったるあの歌もこの歌もこの日はひときわ輝いていたんだ。

詳しいライブの模様はあえて書かないが、けして文字数制限によるご都合主義ではないことを明記しておく。何故なら、どれだけぼくがここで駄文を並べたところで結局ダンスホールは行かなきゃわからない。凡庸な言い方だが「事件は現場で起こっている!」と思うからだ。

RACYのライブが終了した時点で時計は3:00を廻っていた。
先述したように三河という街は日本有数のダンスホールが熱いエリア。この後のNARI IN KINGSTON、SNOBのターンでは正しくそんな「三河レゲエの真骨頂」を目の当りにする展開となった!

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まずはこの日集まった淑女たちに軽くご挨拶といったところであろうか。NARI IN KINGSTONは現在レゲエ、ヒップホップ問わず日本中のフロアを熱く燃やしているBIG TUNE [GYAL IS EVERYTHING] よりスタート。“東海のチャリーズエンジェル”ことCHAMMY、ACE、JELLY GROWがMICを握った [RUNWAY] でフロアの東海女子のハートをがっちり掴むと、[セサミストリート] [ウィリボンス] SEARCH & CHARISMA ZOMBIE [サマータイム] と、新旧のダンスチューンを矢継ぎ早に繰り出し、フロアは瞬く間に熱狂の渦となった!!

そしてこの日の〆は、DJブースを飛び出し、前のステージに飛び乗ってからの [LIFE IS ONEWAY]。
[LIFE IS ONEWAY]……2011年の3月11日に日本を襲ったあの未曾有の大災害において、“仙台に住む被災者”という形で対峙した彼が震災発生から僅か10日ほどで完成させ、YouTubeに載せて全国全世界に発信した渾身のメッセージ・ソング。まさしく日本レゲエ史に大きく刻まれるであろうこの曲が歌われている間、フロアは水を打ったような静寂に包まれ、さっきまで踊り狂っていたハズのDANCEHALL MASSIVEも、誰もがみな真剣な面持ちでメッセージに聴き入っていた。


そしてこの時、もぬけの殻となったDJブースでは急遽そこに居合わせたDOMINO KATがターンテーブルの前に立ち、NARIのバックを務めるという嬉しいハプニングも!先ほど、ぼくが「事件は現場で起こっている!」と書いた理由がお解りであろうか?そういつだって事件は現場で起こってる。こんなサプライズ、そうそう見れるもんじゃないぜ!!

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何気に『やすらげん』は初だというSNOBは、[アイビリーブ] [NO PAIN] と「合唱」系の二大BIG TUNEからスタート。そしてこの「発声練習」は「大いなる助走」でもある。何故ならレゲエダンスホールは「音楽の時間」であるのと同時に「体育の時間」でもあるからだ。“いくつになってもレゲエ聴くやつは両手上げぇ!” CHINO [NEVER CHANGE] で御年41歳(!!!)になるというツネマタランが熱いMCを轟かし、[クレイジーハイプ] や [オーバディオール] (ともに00年代レゲエゴールデンエイジを美しく彩ったダンスチューン)が流れ出す頃になると、間違いなくフロアはこの夜の最高潮を迎えていた。何てったってセレクターのゆかんせがブースを飛び出し、ステージ、果てはフロアに乱入(!!)して、踊りまくるぐらいさ!どこを見てもダンス!ダンス!ダンス!

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“EVERYBODY DANCE NOW!!!” C&Cミュージックファクトリーのあのイントロがサンプラーに入っていたら100回は押してもいい。四方を山に囲まれ、すぐ横には小川がそよそよと流れているあの雄大な大自然の中で、集まった何百人もの男女が皆で同じステップを踏む。何と壮観な光景であったことか。

たくさんの星と月に見守られ皆で踊り明かしたあの夜を、ぼくは一生忘れられることはないだろう。

失ったカロリーの代わりに素晴らしいモノを得て、この“レゲエ界の都はるみと岡千秋”が [JUS BUSS] で感動のフィナーレを迎える頃には、すっかり空も白みはじめていた。しかしまだまだPARTYは終わらない。

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朝方に登場したのはこの日最後のゲストサウンドUNSTOPPABLE!!
時間帯もあり、甘めのR&Bでも流すのかと思いきや最新のダンスホールで“押して”いく選曲。まさにその名の通り“止まらない”展開となった。

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そしてこの時(バーカンのトイメンで燃え尽きていた焚き火の如く)クールダウンしたかのように見えたダンスホールに、UNSTOPPABLEと共に再び火をともしたのは誰あろう東海のQUEEN“CHAMMY”であった。メインタイムから変わらず、その衰えを知らぬスタミナでブースのまん前をKEEP。ダンス!ダンス!ダンス!が文字通り止まらない。

FUJIYAMAのサウンドシステムの一番上までかけ登り、彼女がカモシカのような足を大きく広げてダンスを披露した時は皆の歓声が上がった。その光景はまるで、朝陽に向かって祈りを捧げる巫女(シャーマン)のようであった。まだ「AGONY★夢舞」だったころから今に至るまで、そういつだってCHAMMYは東海の現場を熱く燃やしてきたんだ。

太古の昔、まだ我々の祖先が石ヤリを持ち獲物を追いかけていたような時代から、人は夜な夜な火を焚き、酒を呑んで踊り、“祝祭”を行ってきた。まさしくそんなことを再確認させてくれるような夜だった。レコードからCD、CDからデータへと、音楽を取り巻く環境はめまぐるしく変化し、風営法の名のもとにぼく達の“社交場”にも規制がかけられつつあるが……ぼくらのこの営みだけは誰にも奪えないだろう。そうさオレ達は今、生きている!!

さぁいよいよこの物語もクライマックスに近づいてきた。
最後になったがこの“三河”という街に対する自分の思いを少しだけ書こうと思う。

去年の冬、ぼくはある女の子を好きになった。三河の子だった。
顔もスタイルも特別いいわけではなかったけど、音楽が本当に大好きで、音楽の話をする時はいつも本当に楽しそうな眼をして笑っていた。
そんな宝石みたいにキラキラしたひとみにぼくはずっと片想いしていた。
もしも彼女が
「あたしの地元には、『やすらげん』っていう日本で一番やばくて面白いダンスがあるんだよー!」
と言わなかったら……ぼくは恐らくこの文章を書くことはなかったろう。
「もうあの頃には戻れないんだな」と思うと、不意に涙があふれた。

[Stars] / Cornell Campbell (ROCKERS ISLAND web)


while when the stars stop shining, it brings out clouds
and while when the clouds send lightning, it reach the ground
its like my heart on fire for you
little girl you are my desire, you i require
(when blossoms fell) it rings a bell
(when roses fell) it fills my emotion with devotion

空の星が瞬きを止めて雲を運んできた
雲が雷を生み、稲妻が大地に轟いた
それはまるで君を想う僕の心
愛しい人よ、君こそ僕の望む人
花びらが散って鐘の音が響き
バラの花が散って僕の感情を満たす
対訳:masako okazaki

星に手が届きそうなこんな夜に、コーネル・キャンベルの美しいファルセットはぼくの胸をギュっとしめつけた。
右手に持ったプラスチックの容器の中の、星ひとつ見えないラムコークのドス黒い夜空に落ちて光って涙はまるでひとすじの流れ星のようだった。

ま、まぁそんな自分のヨタ話は置いといて……
「来年も、また再来年もこのPARTYで踊れますように」
ラムコークの中の流れ星にぼくはそんな願いごとをしたんだ。

できれば月明かりの下で。ね!

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■SOLO BANTON プロフィール
粋でいなせなデザイン会社『ソロバングラフィック』代表。
コアなBLACK MUSIC LOVERから絶大な支持を得ている人気ブログ『ラストダンスはブンバイバイ』も5年目に突入しますます好調!
2012.01.14:EVENT REPO.-イベントレポート
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