
90年代のジャマイカダンスホールシーンを語る上で外す事の出来ない、名門レーベル「Penthouse」。
レーベル主宰者は、本名:Donovan Germain(ドノヴァン・ジャーメイン)。1952年3月7日生まれ。
1970年代にニューヨークにレコード店を構え、ニューヨークを拠点に活動を始めRevolutionary Soundsを設立。そうしてプロデュース業を開始する。ちなみに楽曲の製作は全てキングストンで行っていた。
80年代後半になって製作した楽曲がイギリスでヒット。それを機に87年、キングストンのSlipe Pen Roadに拠点を移しスタジオを設立する。
そこからPenthouseレーベルの偉業は始まる。Penthouseレーベルでの楽曲は、先駆者たちであるPower HouseやJoe Gibbs、それにVolcanoなどと同じくStudio 1などオールディーズの名曲などを多くリメイクした。そのリメイクのほとんどが打ち込み(コンピュータライズド)による製作で、クリア且つ重厚な音色のサウンドで、シーンに新しい風を吹かせた。
ここで、オールディーズのリメイクを支えた職人&ミュージシャンを紹介。
■レコーディング&ミキシング・エンジニア
○Dave "Rude Boy" Kelly(デイヴ・ケリー)
Mad House、Xtra Largeレーベル主宰者であり、天才的超有名なリディムメイカー。
○Tony "CD" Kelly(トニー・ケリー)
Dave Kellyの兄であり、K-Liciousのレーベルを主宰する有名プロデューサー。
○Andre "Rookie" Tyrell
Lloyd Chalmersの息子で、Rookie Productionsレーベルのプロデューサー。
○Michael "Coolie" Cooper(マイケル・クーパー)
○Steven Stanley(スティーヴン・スタンレー)
レゲエ業界のみならず、他ジャンルの音楽人もその名を耳にした事があるぐらい有名な国宝級エンジニア。
○Andrew Thomas(アンドリュー・トーマス)
○Stumpy(ストンピー)
○Gary Jackson(ゲイリー・ジャクソン)
○Rohan "Zumjay" Stephens(ロアン・スティーブン)
最近はDJとしても活動し、マルチな才能を発揮している。Shane C. Brown(シェーン・ブラウン)。Errol Brownの息子でJuke Boxxレーベルのプロデューサー。
■ミュージシャン
○Mafia & Fluxy(マフィア&フレクシー)
ベーシストとドラマーからなるイギリスを代表する兄弟で活動するリディムメイカー。
○Steelie & Clievie(スティーリー&クリービー)
自身もレーベルを主宰するプロデューサーコンビ。
○Steven "Lenky" Marsden(スティーヴン・レンキー)
40/40 Productionsの主宰であり、世界的に大ヒットした"Diwali"リディムの制作者。
○Danny Brownie(ダニー・ブラウニー)
超有名な音楽一家ブラウニーファミリー出身で、Main Streetレーベルのプロデューサー。
○Robbie Lyn(ロビー・リン)
○Sly Dunbar(スライ・ダンバー)
世界的にも有名なTaxi Gang主宰のドラマー。
○Handel Tucker(アンデル・タッカー)
○Firehouse Crew(ファイヤーハウスクルー)
ジャマイカを代表する有名バックバンド。
以上の有能なメンバーに支えられ、Germainは沢山の楽曲を発表。Penthouseレーベル作品のクオリティーの高さは、やはりこのメンツあっての物だと考えられる。
Germainは有能な人物を集める能力にたけていて、テクニクスからリリースされた「Stamina Daddy」の大ヒットで人気を集めていた、当時アイドル的なDJであったBuju Bantonとアーティスト契約を結び、専属のDJとして多くのヒット曲を製作した。
その後も優秀なエンジニアやリディムメイカーを起用し、Studio 1などの様々なファンデーション曲をリメイクしていく。
レゲエの世界でファンデーション曲のリディムをリメイクする事はごく当たり前に行われているが、PenthouseがVolcanoやJoe Gibbsなど他のレーベルと違った点がある。
それは、今までのリメイクではやはりオリジナルのテイストを壊さないように忠実な感じで音色などもリメイクするのに対し、Penthouseでリメイクされたリディムは骨組みの部分はしっかり忠実にリメイクしいるが、音色などのアレンジが素晴らしく90年代の世の中にマッチした、都会的でクラブなどで再生される事を前提に重低音がゴリゴリ出るような音作りでリメイクしていた。
Germainのそのリメイクセンスはカバー曲でも発揮されていて、海外のR&B曲・SOULなどをレゲエでカバーした楽曲でヒットを放つなどしている。
Penthouseは90年代のレゲエが日本やヨーロッパなど海外へ多く広がっていった時代において、その進んだサウンドセンスと都会的で馴染みやすい楽曲を多く発表したことは、Degital BやJammysなどと同じく、以後のレゲエシーンに大きく影響を与えた。
2000年以降、徐々にリリース量は減っているものの、未だにBuju BantonやAssasin、それにTony Rebel、Beres Hammond、Queen Ifricaなどの一流アーティストの楽曲を発表するなど、一時期の勢いはないが好調にレーベル活動を行っている。
長年、Buju BantonのマネージメントもGermainが管理していたが、最近お互いの次のステップに移るためにマネージメント契約を円満解消した模様。